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大阪地方裁判所 平成元年(わ)1242号 判決 1989年9月29日

本店所在地

大阪府松原市北新町三丁目四番三四号

中得工業株式会社

(右代表者代表取締役 中得馥)

本籍

大阪府松原市北新町三丁目三三三番地

住居

同市同町三丁目四番三三号

会社役員

中得馥

大正一〇年一〇月一七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人中得工業株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人中得馥を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人中得馥に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人中得工業株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪府松原市北新町三丁目四番三四号に本店を置き、各種装粧用品の製造並びに販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の法人であり、被告人中得馥(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  被告会社の昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が四九三三万七八四〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、売上の一部を除外するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六一年二月二八日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇六一万五五五六円でこれに対する法人税額が三〇五万四七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一九八二万一三〇〇円と右申告税額との差額一六七六万六六〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れ

第二  被告会社の昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が四四九九万七三八三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六二年二月二八日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八四九万一二〇四円でこれに対する法人税額が一九七万二七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一七七七万九八〇〇円と右申告税額との差額一五八〇万七一〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れ

第三  被告会社の昭和六二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が四一四九万六二八円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六三年二月二九日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一三六五万九四八二円でこれに対する法人税額が四五五万四四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一六二四万三四〇〇円と右申告税額との差額一一六八万九〇〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の被告人に対する質問てん末書七通

一  西本加代子の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の中得良子(六通)、西本加代子(六通)、岩佐則次(三通)及び伊藤博(証拠番号42)に対する各質問てん末書

一  被告会社作成の証明書

一  収税官吏作成の査察官調査書五通(証拠番号10ないし12、14、19)

一  収税官吏作成の査察官報告書

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の前田航二郎に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号1)

一  八尾税務署長作成の証明書二通(証拠番号4、5)

一  収税官吏作成の査察官調査書(証拠番号15)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の児玉賢二に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号2)

一  八尾税務署長作成の証明書(証拠番号6)

一  収税官吏作成の査察官調査書三通(証拠番号15、17、18)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の遠藤善男、宮崎安登及び伊藤博(二通、証拠番号43、44)に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の脱税額計算書(証拠番号3)

一  八尾税務署長作成の証明書(証拠番号7)

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(証拠番号16、18)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

法人税法一五九条一項、一六四条一項

(二)  被告人

法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)

二  併合罪の処理

(一)  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

三  刑の執行猶予

被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 白井万久)

別紙(一)

修正損益計算書

中得工業株式会社

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

中得工業株式会社

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

中得工業株式会社

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

<省略>

別紙(四)

脱税額計算書

中得工業株式会社

<省略>

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